ポプリ
 シオンとは兄妹みたいなものなのかもしれない。

 昔、母に言われたことがあった。

 花龍とシオンの魂は元はひとつで、故に元に戻りたいと引かれ合うのだと。

 小学生の頃、花龍はひとつに戻ると自分が消えそうで怖いと思い、シオンから逃げていた。逆にシオンはひとつに戻ることで安心出来ると感じ、花龍を追いかけていた。

 それは年を重ねるごとに落ち着いてきて、中等部に上がる頃には、何故彼から逃げていたのか分からなくなるくらい、自然と隣にいるようになった。

 でもそれは、魂の片割れだからなのか。

 ただ、血の繋がりがあるからなのか。

 もしかしたらシオンも、それが原因で花龍を好きだと勘違いしているのではないだろうか。

 一瞬だけそう思うものの、彼は違う気がした。シオンの深海色の瞳は真っ直ぐに花龍を見ていた。そこには花龍の中にはまだない、ほのかな熱が感じられた。それと同じものを花龍は抱けるだろうか。

 ……分からない。

 シオンが離れていくことは想像出来ない。けれども同じくらい、彼と恋人同士になるということも想像出来なかった。

 ただ傍にいて笑い合う。

 それだけでは、駄目なのだろうか。



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