ポプリ
 そのまま店の外に連れてこられた花龍は、仁王立ちした弟に怒鳴られた。

「まったく、花龍はぼーっとしてるんだから。俺がいなかったらセクハラされてたぞ。気をつけろ!」

 そう、お姉ちゃんにお説教をする麗龍。

 幼稚園年長の彼は、ここのところ反抗期だった。ちょっと前まではお姉ちゃん、お姉ちゃんと寄ってきていたのに、もう年長だから大人なんだ、子どもみたいに甘えたりしねーぞ、と。大人ぶっている。

 両親がほとんど家にいないので、その代わりに姉を護ろうとしているのかもしれない。

 まだまだ甘えたい年頃の子なのに、小さいなりに一生懸命だ。そんな弟の気持ちが嬉しくて、花龍は笑顔になる。

「そうだね、気をつける。ありがとう麗龍」

 と、麗龍を抱っこして頭をナデナデ。

「うわっ、こらっ、子ども扱いすんな、ばか花龍!」

 悪態をつきながらも、麗龍は頬を染めてどこか嬉しそう。

 そんな弟がかわいい花龍はにこにこ笑顔だ。今までシオンのことで悩んでいたことも、弟を抱っこしている間はどこかへ飛んで行った。




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