ポプリ
 そこで改めてマリアベルの姿を見たシオンは、ほう、と感心した。

 上から81、54、82。

 見事な数字だ。

 何の数字かって、スリーサイズだ。

 シオンやシャンリーのような破廉恥属性にとって、目測で正確なサイズを測るのは造作もないことだった。

 マリアベルはシオンの理想である花龍とまったく同じサイズだった。ドレスの上にポンチョを羽織っているのでカップ数までは測れないが、ウエストのサイズを見るに、アンダーは63か64。ということは、Dカップ。

 まさに理想のボディラインだ。この手の中からほんの少し溢れる感じのマシュマロ。ナイスな腰のくびれ。そしてなんと言っても健康的な安産型のお尻。まさに理想的な流線形。そこだけで少し気分が浮上した。

 伏し目がちに微笑む淑やかな姿もどこか花龍を彷彿とさせる。

 ……ああ、外見だけで好きになれたら良かったのに。

 どうやっても、ミルクティ色の波打つ髪を翻し、穏やかに微笑む花龍の顔が離れない。



 夏休みが終わればまた天神に戻らなければならないため、それまではマリアベルとの親交の時間を設けられた。

 皇城内にあるリザ公家の城から、ほぼ毎日マリアベルのいる宮殿に向かい、二人だけのお茶会を開く。

 退屈と言えば退屈だ。

 けれども相手を知ることも大切なのだ。シオンは留学先での天神学園での話を、マリアベルは公務で立ち寄った街で見た珍しい景色や、兄弟たちの話を。静かな口調で語り合った。

 そうしてマリアベルと話しているうちに、気づいたことがある。

 いや、気づいてしまったというべきか。

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