ポプリ
 それを見ながら、野菊はクスリと笑う。

「護るどころか、シオンもちゃんとした戦闘要員なんだよぉ。『母さんはおれのうしろにいて! 母さんは弱いから、おれがまもってあげるからね!』なんて言ってくれちゃうんだぁ」

「あら……シオンくん、大丈夫なんですか?」

 琴音の心配には、リィが答える。

「大丈夫……シオンには、ウィスプ(光)の召喚を覚えさせたから、護りだけは完璧……」

「そうそう、ちゃんと護ってくれるんだよぉ。口だけじゃないんだよぉ。頼りになるよねぇ、ウチの子ー♪」

 野菊は満面の笑みで息子自慢。

 その視線の先では、父親と母親を足して2で割ったような髪色──杏色──をした小さな男の子が、深海色の瞳を輝かせて走り回っている。

 シオン=グリフィノー。

 シンと野菊の息子である。

 それをちょこちょこと追いかけているのは、これまた父親と母親を足して2で割ったような髪色──胡桃色──をした小さな女の子で、翡翠色の瞳を同じように輝かせている。

 早川 花龍(はやかわ ふぁろん)。

 霸龍闘とリィの娘である。

 そしてその更に後ろを、短い黒髪を靡かせた、黒曜の瞳を持つ小さな男の子が追いかける。

 鳴海 七音(なるみ なおと)。

 幼い頃から琴音の婚約者として扱われていた、ジャズヴァイオリニスト鳴海響也の息子、響(ひびき)と琴音の息子である。

 現在シオンと花龍が5歳、七音が4歳だ。

 ちなみに、本家を継いだ玲音にも最近になって息子が生まれた。そのうちここに加わって一緒に遊ぶようになるだろう。

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