ポプリ
「でも、本当、双子って不思議ですね」

 子どもたちを眺め、頬に手を添えながら琴音が言う。

「そだねぇ。まさか、子どもが生まれるのも一緒なんてねぇ」

 野菊も笑う。

「ほんとだね……」

 お茶を飲みながら、リィも穏やかな顔だ。

 まったく同じ日ではなかったけれど、シオンが生まれた次の日に花龍は生まれた。互いの祖父母たちとともに、異世界を行ったり来たりのドタバタの出産劇があったのだ。そして落ち着いたころに生まれた子どもを見せ合って笑い合った。『まるで双子じゃん』、と。

 髪色が似たからか、シンとリィよりも双子っぽく見える従兄妹である。


「確かに、シンが怪我したり、危険な目に遭ってたりすると、離れていてもなんとなく分かる」

「うんうん、シンくんもそう言ってたよ。エージェントも危険なお仕事でしょ? だからいつも心配してるし」

「そういうときはお手紙を出したりするのですよね?」

「うん、確認する。返事があるとほっとするよ……」

「携帯でも使えれば便利なんだけどねぇ」

 さすがに宇宙も次元も違うので携帯は使えない。代わりに、両親から貰った指輪で小さな転移魔法陣を開き、手紙をやり取りするわけだが。

「あ、そうそう、便利といえば」

 野菊が思い出したようにバッグの中から大きな包みを取り出した。

「これ、リィちんに渡すようにって」

「なぁに?」

 包みを解くと、中には頑丈そうな黄土色の箱が入っていた。その蓋を開け、リィは息を呑んだ。

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