ポプリ
「アイシャ様はとてもお元気な方で、その……色々と、厳しいことを言われるようで」
「どんな?」
「その……貴方様のような貧弱な方は好みではないと。その笑顔が胡散臭いと。皇太子のくせに体術がなってない、と……」
「え、アイツ、皇太子と試合したの?」
「弱々しい殿方は好かないから、勝負をしろと言われたそうで」
「そりゃ負けただろ」
「はい、負けました」
アイシャはあのシャルロッテの娘である。しかも皇族の姫の中では一番にローズマリーの気質を受け継いでいる。魔力保有量は皇太子やシオンに次ぐので、山ひとつ崩せそうな勢いだ。皇太子も護身術は身に着けているが、体術では敵うまい。
まあ危険なようなら周りの騎士たちが止めるだろうし、皇太子自身も拳を跳ね返せるだけの召喚術は身に着けているだろうが。負けたということは召喚術は使わなかったらしい。優しい人だな、と思う。
「皇太子、命があって良かったな」
半分冗談でそう言ったら、マリアベルが顔を青ざめさせた。
「し、シオン様! そのような恐ろしいことを!」
それから手をぎゅっと握りこんで、涙を浮かべる。
「兄上様にアイシャ様のような方は手に余ります。酷いことを言われるばかりか、殴られ蹴られ……将来惑星王となられる兄上様が……あまりにも不憫です」
「そうだな……」
皇太子もかわいそうだが、アイシャもアイシャだ。母に言ってシャルロッテ叔母君に注意するように進言した方がいいだろうか。
そんなことを思っていると、マリアベルが俯きながらぽつりと言った。
「でももっと酷いのは、わたくしなのです」
「……なんで?」
はぐはぐとステーキを咀嚼しながら訊く。ちなみに、これはおかわり分である。
「どんな?」
「その……貴方様のような貧弱な方は好みではないと。その笑顔が胡散臭いと。皇太子のくせに体術がなってない、と……」
「え、アイツ、皇太子と試合したの?」
「弱々しい殿方は好かないから、勝負をしろと言われたそうで」
「そりゃ負けただろ」
「はい、負けました」
アイシャはあのシャルロッテの娘である。しかも皇族の姫の中では一番にローズマリーの気質を受け継いでいる。魔力保有量は皇太子やシオンに次ぐので、山ひとつ崩せそうな勢いだ。皇太子も護身術は身に着けているが、体術では敵うまい。
まあ危険なようなら周りの騎士たちが止めるだろうし、皇太子自身も拳を跳ね返せるだけの召喚術は身に着けているだろうが。負けたということは召喚術は使わなかったらしい。優しい人だな、と思う。
「皇太子、命があって良かったな」
半分冗談でそう言ったら、マリアベルが顔を青ざめさせた。
「し、シオン様! そのような恐ろしいことを!」
それから手をぎゅっと握りこんで、涙を浮かべる。
「兄上様にアイシャ様のような方は手に余ります。酷いことを言われるばかりか、殴られ蹴られ……将来惑星王となられる兄上様が……あまりにも不憫です」
「そうだな……」
皇太子もかわいそうだが、アイシャもアイシャだ。母に言ってシャルロッテ叔母君に注意するように進言した方がいいだろうか。
そんなことを思っていると、マリアベルが俯きながらぽつりと言った。
「でももっと酷いのは、わたくしなのです」
「……なんで?」
はぐはぐとステーキを咀嚼しながら訊く。ちなみに、これはおかわり分である。