ポプリ
「これ……」

「あ、わかる? 見た目水晶っぽいけど、凄い魔力の塊だって。これがあれば、転移魔法陣ももっと楽に使えるんじゃないかな」

 リィが大学在学中に完成させた簡易転移魔法陣は、座標をミルトゥワの皇都にあるグリフィノー家の地下、そして地球の橘邸の東屋──今三人がお茶をしている場所──に限定して設定することで簡易化に成功している。

 しかしそれでも膨大な魔力が必要であることには変わりなく、更に少ない魔力でやり取りするにはどうすればいいのか、リィは現在も研究していたのだが──。

「もう魔法陣をいじるのは無理なんじゃないかって、シンくんが。だから、アイテム使ってみたらどうかなって。幸い、こんなものが発掘されたわけだしさ。試しに使ってみない?」

「うん、分かった、使ってみる……」

 リィの目が輝いている。

 掌に乗るくらいの水晶を手に、久々に魔法陣研究への意欲が湧いてきたようだ。

 そしてその後、この水晶を魔法陣の四隅に置くことで転移魔法陣は強化され、毎日でもミルトゥワと地球を行き来出来るようになる。











 そしてシオンが天神学園に毎日通えるようになる、と。





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