ポプリ
 何かやらなければならないことが出来たとかで野菊が鍛錬場を後にし、リプニーはほっと一息つく。

 今日の鍛錬はまず先日のおさらいから。頭や肩を上下させることなく、すり足に近い状態で鍛錬場を行ったり来たり。

「肩から力を抜いて……うん、なかなか良くなってきましたよ。重心が安定してきています」

「本当ですか!」

「はい。これに片足立ちや回転やジャンプを入れても軸がブレないようになれば、完璧です」

「頑張ります!」

「リプニー様は呑み込みが速いようですので、今日は槍術(そうじゅつ)を取り入れた訓練もしてみましょうか」

 リプニーが持つ携行砲を使い、槍術のような動きは出来ないか、というのが彼女が最初に願い出ていたことだった。

「かなり丈夫なようなので、攻守共に使えると思います」

 ここで指導員の交代だ。

 騎士ヴィルヘルムが出てくる。

「槍術は遠間から攻撃出来るのが最大の長所です。例えば、私が剣を持って貴女に襲い掛かっても、間合いに入る前に攻撃することが出来る」

「はい」

 リプニーは頷きながら、剣を手に踏み込んできたヴィルヘルムに合わせ、携行砲を前方に突き出してみた。

「槍の最大の攻撃方法は突きですが、棒術では薙ぎ払いが主です。まずは突きの練習から行きましょう。その携行砲がいかに頑丈とはいえ、砲身を歪めては狙撃が難しくなります。ですから砲身にストレスを極力かけないよう、真っ直ぐに刺突する必要があります」

 真っ直ぐを意識して携行砲を動かしてみて、対象物に真っ直ぐに突くというのはなかなか難しいことが分かる。

「構え方は体の左側を前に。腰を落として、身に着けた歩法を思い出しながら突きの練習をしてみてください」

「はい!」

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