ポプリ
 なんで花龍や麗龍は普通なのに、ウチの子たちってばあんなに破廉恥なのだろう。

 息子は女官や侍女たちの胸やら尻やらを気軽に触りながら挨拶するようなヤツだし、娘はもっと際どい揉み方や悪戯をする。おまけに恰好がビキニアーマー。公女としてもあり得ない恰好だが、女の子がそんなに肌を晒すものではありませんと、父としては思うのだが。

 一応、シンも注意はしたのだ。

 厳しめに、「そんな破廉恥な真似はやめろ!」と、怒鳴りつけたこともあるのだ。

 だがしかし、愛娘から返ってきた言葉と言えば、

「父上は空気を奪われて生きていけますか? 母上を奪われて生きていけますか? 私にとって破廉恥は空気のようなものであり、父上にとっての母上のようなもの。それを奪われて生きていけるとお思いですか!」

 ……と。

 え、そんなに破廉恥って大事なの? とシンは思わざるを得ない。

「はあ……。生まれた頃は天使だったのに……いや、今でも十分天使だけど。他に類を見ないほどに天使だけど」

「シンくんは娘が大好きなんだね」

「娘が大好きでない親などいるものか」

 そうかのかなあ、と麗龍は自分の父と姉を思い浮かべた。

 ……うん、大好きかもしれないな、と納得して話を続ける。

「まあ、今のところ、被害者はリプニー先生だけだから大丈夫だよ」

 大丈夫ではない。リプニー先生が。

 ちなみに、シャンリーもシオンと同様、花龍には手を出さない。兄同様、彼女にとって花龍は侵してはならない聖域なのである。そしてリプニー先生はいじり倒すことで癒される楽園なのである。

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