ポプリ
「……兄上も、リプニー先生がみんなの前でマイクロビキニになったら嫌なの? 誰にも見せたくないの?」

 夏休みまでは“そう”ではなかったと、シャンリーは思っている。

 けれども最近ではどうやら“そういう関係”に近いのではないか、とも踏んでいる。……立場上、きっと兄はまだはっきりと想いを告げることは出来ないだろうが。

 そんな微妙な関係にあるリプニー。けれども確実に惹かれているだろう彼女への、兄の認識はどうなのだろう。

 シャンリーの疑問に、シオンは少しだけ考える素振りをした。

「そうだな、嫌だと思うよ。でもシャンリーと花龍にだけは破廉恥行為を赦してもいいぞ」

 茶目っ気のある笑みを浮かべる兄に、シャンリーは頷いた。

 自分と花龍にだけしか赦さないとは、かなり彼女に入れ込んでいるとシャンリーは見た。それが殿方の独占欲というものなのか、と納得も出来た。

 それでも、服を着る行為には抵抗があるのは否めない。

 それが今までの自分を構築してきたもののひとつであるから。それを失くしたら自分が自分でなくなってしまうような気さえするのだ。

「まあ、シャンリーの言いたいことも分かるけどな。でもひとつ言えることは」

 シオンは妹に優しく微笑みかけた。

「目に見えるものだけがすべてじゃない。服の中にこそ神秘はある、ということだ」

 シャンリーはビックリした。

 そんなこと、思ってもみなかったからだ。

 ただ肌を露出させることばかりが破廉恥ではない。覆い隠された部分にこそ神秘は存在している。

 さすが兄上。彼は高い次元にいるのだとシャンリーは心から感心した。


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