ポプリ
「じゃあ出て行けばいいのに。自由なんだろ、竜って」

「……それは」

 レヴェントは押し黙った。

 そして眉間に深く皺を寄せながらそっぽを向いた。

「僕たちは、あの人に逆らえないもの」

「シーちゃんって凄いんだね」

「……それは認めざるを得ないね」

 レヴェントは心底ウンザリした顔で、それでもシルヴィのことは認めているようだった。

 レヴェントはシルヴィには逆らえない。

 恐らく、このミルトゥワにいる竜種はすべて、同じだろう。

 だって彼女は『古代竜』だから。

 古代竜は、すべての竜の始祖らしい。始祖竜というのは彼らにとっては特別で、決して逆らうことは出来ないのだとか。

 つまりシルヴィはある意味本当に竜たちの母なのだ。

 人族のように、血や民主主義の投票により王が選ばれるわけではなく、より強い者が王として選ばれる魔族。その中で認められているのだから、その実力は相当高い。

 そしてグリフィノーは、竜の頂点にいる古代竜を飼いならしている(?)わけである。グリフィノーが一目置かれ、ともすれば皇族並みの権力を得ている一因がこれだ。

「……いつかきっと、あの人より強くなってやる」

 静かな野望を滾らせる竜の従兄弟に、シオンは軽く笑いながら「頑張れ」とエールを送った。













今更ながら、古代竜の真実をチラリ。

『宝物めが~』は、東北の方言。

愚か者、馬鹿者、などを意味します。





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