ポプリ
「……!?」
硬い胸に顔を埋める羽目になったシオンは、驚きに目を丸くした。父の大きな手は、シオンの太陽色の髪をグリグリと撫でまわす。
「グリフィノー家流お仕置術! 思い知れ!」
グリグリと撫でまわされた挙句、ぶちゅー、と、頬に熱烈に接吻を受けた。
「きゃあああああ!」
思わず悲鳴が出た。
男子らしからぬ悲鳴だ。
「や、やめ、やめろ!」
「阿呆が! 親の子への愛情、その身を以て思い知れ!」
「ヒイイイ、嫌だ、助けて、せめて母上にして!」
「野菊やシャンリーじゃご褒美にしかなんねぇだろうが!」
「いや、ちょっとマジでやめて! ぎゃああああああ!」
グリフィノー家流お仕置術。
『我が子がオイタをした場合は、大いなる愛情を以て叱るべし』
もちろん、過去にシンも、この方法でフェイレイに叱られた経験がある。
幼い頃ならば喜ぶところだが、もう成人間近の息子には本当に酷なお仕置である。父親としても相当に覚悟が必要なお仕置方法である。惨い。
家族間でのキスは挨拶とはいえ、あまりにも熱烈過ぎるそれは、相当に効いた。
それでも、耳元で「良く守れたな、偉いぞ」と囁かれれば、笑みも零れた。
更に時が経ってから、シオンは父から提案を受ける。
「お前、グリフィノーを継ぐ気だろう? それなら仕事を頼まれてくれないか」
「仕事?」
「父さんの……じいちゃんの、手伝いだ」
祖父、フェイレイの手伝い。つまり、魔族との橋渡し。世界の平和を保つ手伝いだ。
世界中を旅して回り、その土地に住む人々の話を聞き、見守ってゆく。『勇者』としての後継を任されたのだ。
禿鷲を改心させられなかったという気がかりもあるが、自由に動き回れるのなら、時々地球に行ってその様子を見守ることも出来るだろう。
彼女は旅についてきてくれるだろうか。
そんなことを思うシオンの深海色の瞳は輝いていた。
◇
本編第一部終了(?)記念のお話。
シオンは勇者として、お嫁さんと一緒に世界中を旅します。皇太子のスパイ的な役割も担うことになりますよ。
硬い胸に顔を埋める羽目になったシオンは、驚きに目を丸くした。父の大きな手は、シオンの太陽色の髪をグリグリと撫でまわす。
「グリフィノー家流お仕置術! 思い知れ!」
グリグリと撫でまわされた挙句、ぶちゅー、と、頬に熱烈に接吻を受けた。
「きゃあああああ!」
思わず悲鳴が出た。
男子らしからぬ悲鳴だ。
「や、やめ、やめろ!」
「阿呆が! 親の子への愛情、その身を以て思い知れ!」
「ヒイイイ、嫌だ、助けて、せめて母上にして!」
「野菊やシャンリーじゃご褒美にしかなんねぇだろうが!」
「いや、ちょっとマジでやめて! ぎゃああああああ!」
グリフィノー家流お仕置術。
『我が子がオイタをした場合は、大いなる愛情を以て叱るべし』
もちろん、過去にシンも、この方法でフェイレイに叱られた経験がある。
幼い頃ならば喜ぶところだが、もう成人間近の息子には本当に酷なお仕置である。父親としても相当に覚悟が必要なお仕置方法である。惨い。
家族間でのキスは挨拶とはいえ、あまりにも熱烈過ぎるそれは、相当に効いた。
それでも、耳元で「良く守れたな、偉いぞ」と囁かれれば、笑みも零れた。
更に時が経ってから、シオンは父から提案を受ける。
「お前、グリフィノーを継ぐ気だろう? それなら仕事を頼まれてくれないか」
「仕事?」
「父さんの……じいちゃんの、手伝いだ」
祖父、フェイレイの手伝い。つまり、魔族との橋渡し。世界の平和を保つ手伝いだ。
世界中を旅して回り、その土地に住む人々の話を聞き、見守ってゆく。『勇者』としての後継を任されたのだ。
禿鷲を改心させられなかったという気がかりもあるが、自由に動き回れるのなら、時々地球に行ってその様子を見守ることも出来るだろう。
彼女は旅についてきてくれるだろうか。
そんなことを思うシオンの深海色の瞳は輝いていた。
◇
本編第一部終了(?)記念のお話。
シオンは勇者として、お嫁さんと一緒に世界中を旅します。皇太子のスパイ的な役割も担うことになりますよ。