ポプリ
「大丈夫。これでも一応、人は選んでる──」
ルナの言葉は途中で途切れた。
表情を険しくしたティーダに突き飛ばされたからだ。次いで、銃声音。空気を切り裂く鋭い音が、朱い鳥居が浮かび上がる空間に亀裂を入れた。
ティーダは飛び退りながら腰の後ろに手をやり、そこにあるはずのものがないことに舌打ちした。ユースティティアは部屋に置いてきていた。
ならば拳で、と顔を上げて、反撃の意思を失くした。代わりに強い警戒心がせり上がってくる。ひいい、と情けない声が口から出そうになった。
月をバックに空に浮かぶ黒い影。
誰だ、などと問うまでもない。
この重苦しい殺気。
飛んできたカスール弾。
黒いインバネスコートをヒラリと靡かせた真祖の吸血鬼、ヴラド=ツェペリ。
「こんな人気のない場所でルナに襲い掛かろうとは、いい度胸だなティーダ=グリフィノー」
地を這うような恐ろしい声音だ。
「ち、違います! 別に襲っていたわけじゃありません!」
良く見たら、いつの間にかルナはヴラドの腕の中に収まっていた。まったく気づかなかったと唖然とした。
「うん、別に襲われてないよ」
ルナはヴラドを見上げながら言う。
ティーダはほっとした。だが。
「ただ、おやすみのキスが欲しいって言われて」
「言ってねーよ!!」
「ふん、さすが破廉恥勇者、シオン=グリフィノーの息子だ。今ここで闇に葬ってやろう」
対科物戦闘用13ミリ自動拳銃、白銀のマンイーターが火を噴いた。
天神学園最強と言われる学園長を、更にはクラスメイトの父親と事を構えるつもりはない。
ティーダは冷や汗をかきながら早川家に逃げ帰った。
◇
家族を大事にするヴラド先生にきゅんとします(笑)
「Kommt Zeit, kommt Rat」は時が来れば分かるよ、というドイツの諺です。
ルナの言葉は途中で途切れた。
表情を険しくしたティーダに突き飛ばされたからだ。次いで、銃声音。空気を切り裂く鋭い音が、朱い鳥居が浮かび上がる空間に亀裂を入れた。
ティーダは飛び退りながら腰の後ろに手をやり、そこにあるはずのものがないことに舌打ちした。ユースティティアは部屋に置いてきていた。
ならば拳で、と顔を上げて、反撃の意思を失くした。代わりに強い警戒心がせり上がってくる。ひいい、と情けない声が口から出そうになった。
月をバックに空に浮かぶ黒い影。
誰だ、などと問うまでもない。
この重苦しい殺気。
飛んできたカスール弾。
黒いインバネスコートをヒラリと靡かせた真祖の吸血鬼、ヴラド=ツェペリ。
「こんな人気のない場所でルナに襲い掛かろうとは、いい度胸だなティーダ=グリフィノー」
地を這うような恐ろしい声音だ。
「ち、違います! 別に襲っていたわけじゃありません!」
良く見たら、いつの間にかルナはヴラドの腕の中に収まっていた。まったく気づかなかったと唖然とした。
「うん、別に襲われてないよ」
ルナはヴラドを見上げながら言う。
ティーダはほっとした。だが。
「ただ、おやすみのキスが欲しいって言われて」
「言ってねーよ!!」
「ふん、さすが破廉恥勇者、シオン=グリフィノーの息子だ。今ここで闇に葬ってやろう」
対科物戦闘用13ミリ自動拳銃、白銀のマンイーターが火を噴いた。
天神学園最強と言われる学園長を、更にはクラスメイトの父親と事を構えるつもりはない。
ティーダは冷や汗をかきながら早川家に逃げ帰った。
◇
家族を大事にするヴラド先生にきゅんとします(笑)
「Kommt Zeit, kommt Rat」は時が来れば分かるよ、というドイツの諺です。