ポプリ
「こんにちはー、はなんだっけ? ずー、ずー……Здравствуй?」
ズドラーストヴィ、と言ったら、少女の碧い瞳がまんまるに見開かれた。そして、また口をへの字にしてボロボロと涙を零した。
「うわ、なんで泣く! えええ……」
麗龍が焦っていると、少女が手袋の填められた手でごしごしと涙を拭い、同じように「Здравствуй」と返してくれた。ふにゃふにゃとした、情けない笑みも浮かんでいる。
言葉が通じたことに嬉しくなった麗龍だが、それ以上の会話は成立しなかった。こんなところで何をしているんだとか、お父さんとお母さんはどうしたとか、訊いても通じないのだ。
麗龍は困った。こんなときは誰を頼ればいいのか。
まず浮かんだのは姉の花龍だ。だが彼女はまだ学校だ。シオン一味のみんなも、すでに帰宅したシャンリー以外は学校。
誰か大人に。
きょろきょろと辺りを見回して、そういえば近くに交番があったことを思い出す。
「ついてこい。お巡りさんのところに行くぞ」
と言って歩き出すものの、少女はついて来ない。不安そうにじっと麗龍を見つめるだけだ。
麗龍は少しだけ考えて、ピン、と閃いた。
『男の子は女の子をエスコートするんだよ……』
いつだったか花龍がそう言っていたのを思い出した。強い男の子は弱い女の子を守らないといけないのだ。
「ん」
麗龍は少女に手を差し出した。
少女は麗龍と差し出された手を交互に見て首を傾げる。
「ん」
ずい、と更に差し出してみたが、少女は戸惑っているようだ。
ズドラーストヴィ、と言ったら、少女の碧い瞳がまんまるに見開かれた。そして、また口をへの字にしてボロボロと涙を零した。
「うわ、なんで泣く! えええ……」
麗龍が焦っていると、少女が手袋の填められた手でごしごしと涙を拭い、同じように「Здравствуй」と返してくれた。ふにゃふにゃとした、情けない笑みも浮かんでいる。
言葉が通じたことに嬉しくなった麗龍だが、それ以上の会話は成立しなかった。こんなところで何をしているんだとか、お父さんとお母さんはどうしたとか、訊いても通じないのだ。
麗龍は困った。こんなときは誰を頼ればいいのか。
まず浮かんだのは姉の花龍だ。だが彼女はまだ学校だ。シオン一味のみんなも、すでに帰宅したシャンリー以外は学校。
誰か大人に。
きょろきょろと辺りを見回して、そういえば近くに交番があったことを思い出す。
「ついてこい。お巡りさんのところに行くぞ」
と言って歩き出すものの、少女はついて来ない。不安そうにじっと麗龍を見つめるだけだ。
麗龍は少しだけ考えて、ピン、と閃いた。
『男の子は女の子をエスコートするんだよ……』
いつだったか花龍がそう言っていたのを思い出した。強い男の子は弱い女の子を守らないといけないのだ。
「ん」
麗龍は少女に手を差し出した。
少女は麗龍と差し出された手を交互に見て首を傾げる。
「ん」
ずい、と更に差し出してみたが、少女は戸惑っているようだ。