ポプリ
龍虎軒に戻ると、入り口には『準備中』の札がかかっていた。
そっと扉を開けて、中を覗き込む。店内には誰もいない。その奥の厨房から、ぼそぼそと祖父母の話す声が聞こえてきた。
「もういい加減元気だせよ龍娘~」
「だって、だって、麗龍に嫌われたんだもん……クソババアとか言われたんだもん……」
「あのくらいの年頃はしょうがねぇって。覇龍闘もそんなもんだったろ。喧嘩しいしいやってただろうが。才能があると思うからこそ厳しくしてんだろ。今すぐは無理でも、麗龍もそのうち気づくさ」
「ううう、もう嫌だ。だから孫を弟子になんかしたくなかったんだ。私は甘いおばあちゃんになりたい……」
めそめそする龍娘を、虎次郎が慰めている。
それを物陰から見ていた麗龍は衝撃を受けていた。
期待されているのか。
そのことに胸が弾んだ。
そして、酷く申し訳なく思った。祖母はちゃんと教えてくれているのに、酷いことを言ってしまった。
ガラリ、と店の入り口が開閉する音がして、虎次郎がそちらへ顔を向ける。そしてカウンターの上に白い伝票が置かれていることに気付いた。それを見て唇の端を上げる。
「龍娘~」
伝票を人差し指と中指に挟み、ピラピラと靡かせる。
『ごめん』
そこには、拙い字でデカデカと、そう書いてあった。
◇
にゃんにゃん、大好きよぉ~(´;ω;`)
そっと扉を開けて、中を覗き込む。店内には誰もいない。その奥の厨房から、ぼそぼそと祖父母の話す声が聞こえてきた。
「もういい加減元気だせよ龍娘~」
「だって、だって、麗龍に嫌われたんだもん……クソババアとか言われたんだもん……」
「あのくらいの年頃はしょうがねぇって。覇龍闘もそんなもんだったろ。喧嘩しいしいやってただろうが。才能があると思うからこそ厳しくしてんだろ。今すぐは無理でも、麗龍もそのうち気づくさ」
「ううう、もう嫌だ。だから孫を弟子になんかしたくなかったんだ。私は甘いおばあちゃんになりたい……」
めそめそする龍娘を、虎次郎が慰めている。
それを物陰から見ていた麗龍は衝撃を受けていた。
期待されているのか。
そのことに胸が弾んだ。
そして、酷く申し訳なく思った。祖母はちゃんと教えてくれているのに、酷いことを言ってしまった。
ガラリ、と店の入り口が開閉する音がして、虎次郎がそちらへ顔を向ける。そしてカウンターの上に白い伝票が置かれていることに気付いた。それを見て唇の端を上げる。
「龍娘~」
伝票を人差し指と中指に挟み、ピラピラと靡かせる。
『ごめん』
そこには、拙い字でデカデカと、そう書いてあった。
◇
にゃんにゃん、大好きよぉ~(´;ω;`)