ポプリ
「いいんだよ、こんな夜中に来てビックリさせたよねぇ」
「いえ、赤い妖精殿は誰にも見つからぬよう、闇に紛れて動くのだと聞いています……はっ! 赤い妖精殿の姿を見てしまうと、次の年からはプレゼントが貰えなくなると伺っていますが……!」
「あ、ああ、大丈夫だよぉ! 最初の一回だけは見逃してあげるからねぇ。でも来年はちゃんと寝ててねぇ」
「なんと、許していただけるのですか!」
「うん、いいよぉ」
「かたじけないっ。じ、実は、毎年楽しみにしているのですっ」
「それは嬉しいなぁ。赤い妖精さん、来年もがんばるからねぇ。ちゃんと寝て待っててねぇ」
「承知致しました。赤い妖精殿、今晩は冷えます。風邪など召されないよう、気をつけてお帰りください」
「ありがとう武くん。武くんもちゃんとお布団かぶって、ゆっくりお休みなさいねぇ」
「はっ。お休みなさい、赤い妖精殿」
……そんなこともあったなぁ、と花音はくすくすと笑う。
それ以来、微妙に目覚めている気配はするものの、武は布団の中に潜り込んで出てこなくなった。
ちなみに、善のところは更にハードルが高い。毎年確実に見つかるので、サンタ衣装は着ずに、見つかったら「眠れないからお水飲んできたんだぁ」と言い訳する。するとクスリと笑われて、「花音は赤い妖精が来るのが楽しみなんだな。子どもみたいだ」と頭を撫でられる。
どっちが子どもなのか分からないが、花音は頭を撫でられると嬉しいので、そのままうふふーと笑って善の布団に潜り込み、ぎゅうぎゅう抱きついて眠る。
そんなわけでプレゼントを靴下に入れる隙はないので、善のプレゼントだけは毎年靴下の上に乗せられている。
天神地区担当の赤い妖精は慌てんぼうなのだ、ということにしておく。
「今年のプレゼントは何がいいかなぁ」
まずは靴下の毛糸選びからだねっ、と、夕城家専属サンタは今年も張り切っている。
◇
夕城分家のほのぼの加減、好きです。
「いえ、赤い妖精殿は誰にも見つからぬよう、闇に紛れて動くのだと聞いています……はっ! 赤い妖精殿の姿を見てしまうと、次の年からはプレゼントが貰えなくなると伺っていますが……!」
「あ、ああ、大丈夫だよぉ! 最初の一回だけは見逃してあげるからねぇ。でも来年はちゃんと寝ててねぇ」
「なんと、許していただけるのですか!」
「うん、いいよぉ」
「かたじけないっ。じ、実は、毎年楽しみにしているのですっ」
「それは嬉しいなぁ。赤い妖精さん、来年もがんばるからねぇ。ちゃんと寝て待っててねぇ」
「承知致しました。赤い妖精殿、今晩は冷えます。風邪など召されないよう、気をつけてお帰りください」
「ありがとう武くん。武くんもちゃんとお布団かぶって、ゆっくりお休みなさいねぇ」
「はっ。お休みなさい、赤い妖精殿」
……そんなこともあったなぁ、と花音はくすくすと笑う。
それ以来、微妙に目覚めている気配はするものの、武は布団の中に潜り込んで出てこなくなった。
ちなみに、善のところは更にハードルが高い。毎年確実に見つかるので、サンタ衣装は着ずに、見つかったら「眠れないからお水飲んできたんだぁ」と言い訳する。するとクスリと笑われて、「花音は赤い妖精が来るのが楽しみなんだな。子どもみたいだ」と頭を撫でられる。
どっちが子どもなのか分からないが、花音は頭を撫でられると嬉しいので、そのままうふふーと笑って善の布団に潜り込み、ぎゅうぎゅう抱きついて眠る。
そんなわけでプレゼントを靴下に入れる隙はないので、善のプレゼントだけは毎年靴下の上に乗せられている。
天神地区担当の赤い妖精は慌てんぼうなのだ、ということにしておく。
「今年のプレゼントは何がいいかなぁ」
まずは靴下の毛糸選びからだねっ、と、夕城家専属サンタは今年も張り切っている。
◇
夕城分家のほのぼの加減、好きです。