ポプリ
大学は休学することにして、産むときには早川家に里帰りすることになった。それまでは天神地区の外れにある廃屋改め、シックな雰囲気の洋風建築の屋敷、ツェペリ家で過ごす。
けれども悪阻が少し酷いようで、ジメジメした梅雨時ということもあってぐったりしているらしい。
それを心配した麗龍は、毎日学校帰りにツェペリ家に通うようになった。
雨上がりのむっとした空気の中、汗を流しながら緩やかな坂道を駆け足で登っていく。姉の元へ行くにも修行だ。途中、スーパーに寄って頼まれていた豆腐とネギと長芋を購入。姉の好きなハーブティも忘れない。
本当は好物の甘いお菓子なども持っていきたいところだが、それも食べられないらしい。
あの甘い物好きの姉がお菓子をいらないだなんて。麗龍は心配でたまらない。だから坂道も急いで駆け上がる。
そうして走っていると、コロコロと赤いものが転がってきた。
「リンゴ?」
ひとつ拾うと、更にもう一つ転がってきた。そして、それに続いて大量にごろんごろんと。
「!?」
思わず手を出し足を出し。
俺の後ろへは転がさないぜ、とばかりにリンゴをひょいひょいと拾い上げ、背負っていた買い物袋へ投げ入れる。
「すみませーん!」
リンゴの転がってくる坂上から、一人の少女が駆け下りてきた。
ふわふわとした金髪が弾んでいるのを見て、「あ」と声を上げる。同時に少女が躓いて前に倒れた。
「危ねぇ!」
ダン、と地面を蹴り、高速歩法で一気に少女へ接近、手を伸ばして地面に衝突しそうな少女の体を捕まえた。
けれども悪阻が少し酷いようで、ジメジメした梅雨時ということもあってぐったりしているらしい。
それを心配した麗龍は、毎日学校帰りにツェペリ家に通うようになった。
雨上がりのむっとした空気の中、汗を流しながら緩やかな坂道を駆け足で登っていく。姉の元へ行くにも修行だ。途中、スーパーに寄って頼まれていた豆腐とネギと長芋を購入。姉の好きなハーブティも忘れない。
本当は好物の甘いお菓子なども持っていきたいところだが、それも食べられないらしい。
あの甘い物好きの姉がお菓子をいらないだなんて。麗龍は心配でたまらない。だから坂道も急いで駆け上がる。
そうして走っていると、コロコロと赤いものが転がってきた。
「リンゴ?」
ひとつ拾うと、更にもう一つ転がってきた。そして、それに続いて大量にごろんごろんと。
「!?」
思わず手を出し足を出し。
俺の後ろへは転がさないぜ、とばかりにリンゴをひょいひょいと拾い上げ、背負っていた買い物袋へ投げ入れる。
「すみませーん!」
リンゴの転がってくる坂上から、一人の少女が駆け下りてきた。
ふわふわとした金髪が弾んでいるのを見て、「あ」と声を上げる。同時に少女が躓いて前に倒れた。
「危ねぇ!」
ダン、と地面を蹴り、高速歩法で一気に少女へ接近、手を伸ばして地面に衝突しそうな少女の体を捕まえた。