ポプリ
 翌日、教室で教科書を机から出しているシャンリーの前に、ガチガチに固まった顔をした麗龍が立った。

「……どうしたん?」

 シャンリーは首を傾げる。

「……あのさ」

「うん?」

「……買い物に、付き合って、欲しいんだけど」

「いいよー。何買いたいの?」

「……」

「……何?」

「……」

「……ねえ、何買いたいの?」

「……ハンカチ」

「ハンカチ? そのくらい一人で……」

 シャンリーははっとした。

 それから徐々に顔をニヤけさせ、口元に手を当てた。ニヤけるシャンリーを見て、麗龍の顔は不機嫌最高潮。それを見て更にニヤける。

「それはプレゼントかな?」

「……」

「女の子に?」

「…………………………そうだよ。だからお前に頼んでんだよっ!!!!」

「分かった分かった、そう怒んないでって。そう~、女の子にねぇ~。麗龍にもついに彼女が出来たのかぁ~。めでたいねぇ~」

「うっせえな、そんなんじゃねぇよ!!!!」

「んん? まだ片思いかな?」

「だから違うっつーの!!!!」

「そう照れないの~。飛び切りかわいいの選んであげるからぁ」

 シャンリーニヤニヤ。

 麗龍イライラ。

 しかし彼には女の子の好みなんて分からないので、シャンリーに頼るしかないのだ。












 
 ユリア、麗龍の素性に気付く。

 でも自分の素性をバラすことには躊躇っている模様。両親の仕事の都合がありますので。




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