ポプリ
 初等部最高学年になった。

 最上級生としての自覚を持たんヤツは串刺しにするぞ、という学園長からのエールを送られ、新学期が始まる。

 麗龍といえば、大学生の花龍とは同じ学園敷地内で会うこともあるのだが、ルナとは相変わらず離れ離れの状態。

 その哀しみを武術への情熱に変えて、修行、修行を繰り返していたら、老師である龍娘から技を伝授してやる、と言ってもらえた。

「やった!」

 長い長い下積みだった麗龍はガッツポーズだ。

「ええー、いいなぁ麗龍」

 隣で唇を尖らせるのは、相変わらずビキニアーマーなシャンリーだ。彼女は麗龍と互角の腕前のため、練習相手にはちょうどいいと、最近は龍娘の元で一緒に修練を積んでいた。

「お前は精霊も操れるんだからいいだろ」

 修行の汗をタオルで拭き取りながら言う。

「麗龍も出来るじゃん」

「詠唱なしでは無理だし、戦闘中も無理」

「集中力ないからじゃないの?」

「……そんなこと、ねぇと思うんだけどな。母上とうまく時間が合わなくて、中々教えて貰えねぇのも痛いな」

 本当はリィにも弟子入りして精霊召喚術を教えて貰えればいいのだが、仕事の都合で中々家には帰って来ない。最近は特に忙しそうで、麗龍はほとんど龍虎軒にいる状態だ。その中で教えを乞うことは難しい。

「んー、そっか。それなら……おばあちゃんに教えてもらう?」

「……リディルばあちゃん?」

「うん。今、ウチにいるの。グリフィノーのお城は誰もいないから」

「旅してたんじゃ?」

「うん。なんか……具合、悪いのかも」

「えっ、そうなのか?」

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