ポプリ
「頼んだ」

「はいよ～」

　そう会話している間に、三人に向かってスーツの男たちが飛びかかってきた。

　麗龍は一番手薄だった右方向へ動き、スーツの男を蹴り飛ばして先へと走った。シャンリーもその背後を守るように続き、くるりと男たちを振り返る。

「吹っ飛ばせシルフ！」

　身体を回転させながら風を巻き起こし、飛びかかってくる男たちを勢いよく吹き飛ばす。

　男たちは地面に着地すると、ゴム毬みたいに弾んで再びシャンリーに襲い掛かってきた。

「気持ち悪い動きだなぁ」

　シャンリーは不敵な笑みを浮かべ、ペロリと唇を舐めた。そして二刀のダガーをくるりと回す。

「貴様ら、私がリザ＝ユグドラシェル公家次期当主、シャンリー＝リザ＝ユグドラシェルと知っての狼藉か～！」

　言いながら、男の首を両断。

　首が飛んだ男の体は、爆発するようにして春の陽だまりの中へ解けていく。

　その中から現れたのは、目玉が描かれた黒い呪符だ。目玉はぎょろりと動き、恨みがましくシャンリーを睨めつける。

「なんてねぇ～。知ってるわけないよねぇ。言ってみただけだから気にしないで～。サラマンダー！」

　ダガーを一振りするシャンリーの動きに合わせてサラマンダーが火の玉を放出。目玉のついた呪符は一瞬で燃やし尽くされた。

　そんな風にして次々と屠っていき、最後の一体を爆発させた瞬間だった。

　目玉のついた黒い呪符が黒い炎を噴き上げた。そこから更に黒いスーツの男たちが飛び出してくる。

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