ポプリ
しばらくして、ユリアの母親だという女性が迎えに来た。
「アンタが麗龍くんかい。噂は聞いてるよ。ウチの娘が世話になったね。ありがとう」
ガシガシと、力強く頭を撫でられる。
ユリアののほほん加減からは想像出来ない、ブルネットの長い髪の、勇ましい美女だった。
「麗龍くん、ありがとう」
ユリアはほにゃっと微笑みながら麗龍に手を振り、母親とともに去っていった。
その細くて白い手を、目を細めて見送る。
彼女の中指の第二関節付近には、新しいタコが出来ていた。……銃を扱う者によく出来るタコだ。
「アイツ……」
何者なのか。
何となく察しはついたが、本人が言わないのならば訊かない方が良いのだろうか。それとも、いつか本人から聞くことが出来るだろうか。
「あ」
そこで麗龍は気づいた。
連絡先を訊いていないことに。そしてハンカチもポケットに入れたままだったことに。
「……またシャンリーにどやされる……」
◇
最大の山場、七年目終了。
「アンタが麗龍くんかい。噂は聞いてるよ。ウチの娘が世話になったね。ありがとう」
ガシガシと、力強く頭を撫でられる。
ユリアののほほん加減からは想像出来ない、ブルネットの長い髪の、勇ましい美女だった。
「麗龍くん、ありがとう」
ユリアはほにゃっと微笑みながら麗龍に手を振り、母親とともに去っていった。
その細くて白い手を、目を細めて見送る。
彼女の中指の第二関節付近には、新しいタコが出来ていた。……銃を扱う者によく出来るタコだ。
「アイツ……」
何者なのか。
何となく察しはついたが、本人が言わないのならば訊かない方が良いのだろうか。それとも、いつか本人から聞くことが出来るだろうか。
「あ」
そこで麗龍は気づいた。
連絡先を訊いていないことに。そしてハンカチもポケットに入れたままだったことに。
「……またシャンリーにどやされる……」
◇
最大の山場、七年目終了。