ポプリ
 ルナの遊びに付き合った後、リィに頼まれていた砂糖と牛乳を買いに天神スーパーへ向かう。

 砂糖と牛乳、そして二本セットになっているチューブ型のアイスをカゴに入れ、レジを済ませる。

 アイスは帰り道で食べる用と、風呂上りに食べる用だ。

 店の自動ドアをくぐったところでさっそく袋を開け、繋がっているチューブを二つに分ける。一本は袋の中へ戻して、もう一本は口の中へ。

 食べ口を歯で引き千切ったところで、小さな子どもの泣き声が聞こえてきた。

 ゴミを袋に投げ込みながらそちらへ顔を向けると、まだ歩き始めくらいの小さな女の子が転んでしまっていた。そしてその前には融けてドロドロになってしまったアイスクリームが。

 すぐに母親らしき人が女の子を助け起こしたけれども、アイスがなくなったと女の子は泣いている。

 麗龍は少しだけ考えて、袋に入れた一本を女の子にあげることにした。

 袋の中に手を突っ込んだところで、その女の子に近づく影があった。金色の髪の少女だ。

 少女は女の子の前にしゃがみ込むと、持っていたソフトクリームを差し出した。

 女の子はすぐに泣き止んで、満面の笑みでソフトクリームを受け取る。

 母親の方は遠慮していたが、最終的には受け取ることにしたようだ。その代金を支払おうとすると、今度は少女の方がそれを拒否した。そして女の子に手を振ると、くるりと振り返り。

 麗龍と視線が合った。

「麗龍くん~!」

「ユリア」

 思わぬところでの遭遇に、互いに目を丸くして立ち尽くす。

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