ポプリ
 親子の微笑ましいやり取りの後、ユリア母は「買い物の続きしてくるね~」と手を振って食品売り場へと去っていった。

 無事にスマホを手に入れたユリアは嬉しそうに頬を染める。

「これで麗龍くんといつでも連絡が取れます~」

 にこにこと笑う彼女が可愛らしくて、つい、麗龍も微笑んでしまう。

「ユリアはいつまでこっちにいんの?」

「一週間後くらいまでは、日本にいます~」

「じゃあ……えっと。この間ってか、前にハンカチ汚しちまったヤツ。弁償するから……」

「そんな、あれはいいんですよ~」

 と、ユリアは首を振ったのだが。

「いや、俺と一緒に店に行って、選んでくれないかな。どんなのがいいか分かんねぇから」

 その言葉に、目に見えてユリアの表情がぱああ、と明るくなった。

「で、デートですか!」

「デートじゃねぇよ!」

 思わず怒鳴り返してしまい、はっとする。ユリアが目に見えてしゅん、と元気を失くしたからだ。

「いや、あの……」

「そ、そうですよね、麗龍くん、あんなに綺麗な彼女さんがいるんですものね……」

「は? 彼女?」

「去年、麗龍くんと一緒にいた、あの桃色の髪の、とってもスタイルのいい……」

 桃色の髪といったら、シャンリーしかいないが。

「彼女じゃねぇよ! あれはただの従姉だ!」

「いとこ……いとこ、ってなんですか?」

「あ、えーっと……俺の母の、兄の、娘?」

「親戚……ですか」

「そう、親戚」

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