ポプリ
「そう、ですかぁ……で、でも、なんだかとっても親し気でしたし、信頼し合っている感じがしました……」
「そりゃ、同じ師匠に師事してたり、学校のクラスが一緒だったりするから……」
「仲、いいんですね」
「いいって言っても、あれはただの従姉だ。彼女じゃねぇ。あんな跳ねっ返り、俺はごめんだ」
最後の方はボソボソと小さな声で呟く。
彼女にするのはごめんだが、親友としては信頼している。だから陰で色々言うことにちょっとだけ抵抗を感じたのだ。
それでもここは否定しておかなければならない。誤解だけはされたくなかった。
「えーと……そういうわけだから。一緒に、行ってくれないかな」
あさっての方を向きながらもう一度訊ねると。
「……はいっ」
とても良い返事が聞こえてきた。
チラリと見た彼女は、見惚れるくらい輝かしい微笑みを浮かべていた。
というわけで、デート当日である。
「いや、デートじゃねぇよ」
否定したいお年頃、早川麗龍、14歳、中二。
早朝の修行で流した汗をシャワーで流し、半渇きの短い髪は適当に立たせて、後ろだけ長くなっている髪を三つ編みにして肩に垂らす。
バスルームから部屋へと戻り、ベッド周りに散乱した服を眺め。
「……何着てきゃいいんだ!」
着替えようという段になって、やっとそんな悩みを出してきた阿呆の子。
修行のときに着ているのは袖のないカンフー着だ。学校へもたまにその恰好で行くことのあるお気に入りだが、デートではない(と言い張る)にしろ、女子と出かける時には何を着て行けばいいのか。
シャンリーと出かけるのとはわけが違う。
何が違うのかと聞かれるとよく分からないが、とにかく違う。
待ち合わせの時間まであと一時間を切っている。さっさと選ばなければならない。
「そりゃ、同じ師匠に師事してたり、学校のクラスが一緒だったりするから……」
「仲、いいんですね」
「いいって言っても、あれはただの従姉だ。彼女じゃねぇ。あんな跳ねっ返り、俺はごめんだ」
最後の方はボソボソと小さな声で呟く。
彼女にするのはごめんだが、親友としては信頼している。だから陰で色々言うことにちょっとだけ抵抗を感じたのだ。
それでもここは否定しておかなければならない。誤解だけはされたくなかった。
「えーと……そういうわけだから。一緒に、行ってくれないかな」
あさっての方を向きながらもう一度訊ねると。
「……はいっ」
とても良い返事が聞こえてきた。
チラリと見た彼女は、見惚れるくらい輝かしい微笑みを浮かべていた。
というわけで、デート当日である。
「いや、デートじゃねぇよ」
否定したいお年頃、早川麗龍、14歳、中二。
早朝の修行で流した汗をシャワーで流し、半渇きの短い髪は適当に立たせて、後ろだけ長くなっている髪を三つ編みにして肩に垂らす。
バスルームから部屋へと戻り、ベッド周りに散乱した服を眺め。
「……何着てきゃいいんだ!」
着替えようという段になって、やっとそんな悩みを出してきた阿呆の子。
修行のときに着ているのは袖のないカンフー着だ。学校へもたまにその恰好で行くことのあるお気に入りだが、デートではない(と言い張る)にしろ、女子と出かける時には何を着て行けばいいのか。
シャンリーと出かけるのとはわけが違う。
何が違うのかと聞かれるとよく分からないが、とにかく違う。
待ち合わせの時間まであと一時間を切っている。さっさと選ばなければならない。