ポプリ
「……今のお言葉は、本当でしょうか~」

 ふるふると震えながら訊ねるユリア。

 質問した後、その口はへの字に結ばれて、初めて会った雪の日、不安げに涙を堪えていた幼い頃を思い出させた。

「本当」

 麗龍は若干挙動不審になりながら頷いた。勢いよく何か色々言ったけれど、我に返ると顔から火が出そうなほど恥ずかしい。なんでこんなこと出来たんだと不思議でならない。

 それでも、嘘を言ったつもりはない。

 ユリアはじっと、上目遣いに麗龍を見つめた。

「……今日の麗龍くん、何だかいつもよりカッコイイです~」

「そ、そうか」

「なんだかいい匂いで、ドキドキしました~」

「そ、そうか。風呂入ってきたからかな?」

「……小さい頃から、いつも私を助けてくれる麗龍くんは、私のヒーローなのです」

「そ、そうか?」

「そんな麗龍くんが、私は大好きです~」

「っ……」

 へにゃりとした頼りない笑顔で。でも誰よりも可愛らしく見える笑顔でそう言われて、心臓が飛び出すかと思った。

「お、おう」

 ぎこちなく頷けば、嬉しそうに笑う彼女。


 それから二人は、やはりぎこちなく手を繋いで土手道を歩き出した。

 川から吹き抜けていく風が、二人を祝福しているかのようにくるくると円を描きながら通り過ぎて行った。











 長かった八年目にようやくピリオド。

 やっと纏まってくれました。





< 384 / 422 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop