ポプリ
 祖父母のためにも早く召喚術をマスターしよう。

 そんな決意を宿したところに、シオンとリプニーがティーダと手を繋いでやってきた。

「シャンリー、婚約おめでとう」

「兄上! ありがとうございます!」

「シャンリーちゃん、おめでとう。とっても綺麗ですよ」

「姉上も、ありがとうございます!」

「おねえちゃん、おめでとー」

「うふふ、ティーダも、ありがとねぇ」

 シャンリーに頭を撫でられるティーダは、前に見たときよりもだいぶ大きくなっていた。今はシオン、リプニー、そしてフェイレイと一緒に世界中を旅しているから、滅多に会うことがないのだ。

 その身に秘めた魔力はシオンに似たのだろうが、滑らかな金色の髪と良く晴れ渡った青空のような澄んだ蒼い目はリプニーにそっくりだった。将来はかなりの美少年になるのではなかろうか。

「麗龍、久しぶりだな」

「おう」

「お前、デカくなったなー。前はこんなだったのに」

 と、ティーダの頭をポンポン叩く。そして麗龍の頭も叩こうとするので、その手を振り払った。忘れそうだが、麗龍はシオンが嫌いだ。密かに尊敬はしているけれど。

「花龍は元気か?」

 この会場には姿が見えない、従妹の様子を訊ねる。今日、花龍は欠席だった。ルナの具合が良くないらしい。吸血鬼とは言っても、半分は人間のルナ。風邪でも引いたのかと、麗龍はちょっと心配だ。

「元気だよ」

「そうか」

 仏頂面で答えると苦笑された。それから、すっと隣にやってきて。

「シャンリーのこと、ありがとな」

 と、肩を叩かれた。

「色々相談に乗ってやってたんだろ? ……妹に迷惑かけぱなしの兄貴に代わって」

「……知ってたのか」

「そりゃ、大事な妹のことだからな」

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