ポプリ
「野生児だな!」

 いつもどこで遊んでるんだ。あ、旅先の大自然か、と納得しながら追いかける。

 庭木の枝は恐らく、麗龍の体重には耐えられない。ティーダの軽い体重だからああやって枝から枝へ渡っていけるのだ。

 というわけで、麗龍は下を走り、追いかける。

 ガサガサと鳴る音と揺れる枝を頼りに走っていき、ティーダが枝から手を離したのを捉えた瞬間に地面を蹴った。

「捕まえた!」

 空中でティーダをキャッチして、軽く一回転してから地面へ降りる。

「ふおお、らいとにーちゃ、父上みたいだねぇ、すごいねぇ」

 と、ティーダの蒼い目が輝く。

「……シオンと鬼ごっこやってたら、そりゃこんだけ動けるようになるか……」

 シオンは息子を超人にでもしたいのだろうか……。

 そんな感想を抱いたティーダとの鬼ごっこだった。

 
 
 シャンリーの婚約式が終わってからも、麗龍は召喚術の修行のために時々ミルトゥワを訪れた。

 ティーダと会えたときには積極的に遊んでやったのだが、その度に「らいとにーちゃ、すごいねぇ」とキラキラした目で言われ、「にーちゃ、にーちゃ」と雛鳥のように後をついてくる。

 慕われると悪い気はしないものだ。

「……弟っていうのも、いいな……」

 末っ子麗龍はお兄ちゃんになった気分でちょっと嬉しかった。











 勇者四代が揃うのは、これが最初で最後。

 シリーズ、次章で終幕です。





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