ポプリ
昼休みに友人たちとお弁当を食べて──お弁当はなんと祖父が作ってくれる。見た目がとても華やかで味も美味しい──、サッカーをするためにみんなと一緒に廊下を移動していると。
階段の途中で倒れている小柄な少年がいた。
橘分家のひとつ、ノエルさんのところの龍一郎だ。彼はとても小柄だけれど、中国拳法を嗜んでいるからそんなに柔ではないはずだけれど。
「おや龍一郎。こんなところに寝てどうしたんだい」
「寝てんじゃねぇよ、倒れてんだよ……」
いつも活力に溢れている彼にしては珍しい、弱々しい声だ。原因に思い当たったので、一緒に校庭へ向かっていた子たちに先に行くようにいって、階段途中で倒れている彼と視線が合うように腰を落とす。
「もしかしてお昼ごはん食べていないのかい?」
「おう……」
「お弁当はどうしたの」
「忘れた……」
「蒲公英が持っているのかい? ボクが取りに行ってあげようか?」
「蒲公英は……休みだ……」
「ふむ、成程。いつもお弁当を持ってきてくれる蒲公英がお休みだからお弁当がなくて、購買部へ向かっている途中で力尽きたと」
「ちげぇよ、購買まで行ったけど金がなくて買えなかったんだよ……」
「なんだ、そうだったのか。それならボクに声をかければ良かったのに」
「んなカッコ悪ィこと出来っかよ……」
「遠慮しなくてもいいのに。親戚じゃないか。どうしても気になるならお代はノエルさんから頂くから安心して食べるといいよ。南原」
執事の名を呼ぶと、どこからともなく現れたボクの執事、南原が焼きそばパンを持ってきてくれた。彼女は代々橘に仕えてくれている一族で、とても優秀だ。きっと龍一郎の姿を見つけた瞬間にこうなることを見越して、すぐ買いに行ってくれたんだね。
階段の途中で倒れている小柄な少年がいた。
橘分家のひとつ、ノエルさんのところの龍一郎だ。彼はとても小柄だけれど、中国拳法を嗜んでいるからそんなに柔ではないはずだけれど。
「おや龍一郎。こんなところに寝てどうしたんだい」
「寝てんじゃねぇよ、倒れてんだよ……」
いつも活力に溢れている彼にしては珍しい、弱々しい声だ。原因に思い当たったので、一緒に校庭へ向かっていた子たちに先に行くようにいって、階段途中で倒れている彼と視線が合うように腰を落とす。
「もしかしてお昼ごはん食べていないのかい?」
「おう……」
「お弁当はどうしたの」
「忘れた……」
「蒲公英が持っているのかい? ボクが取りに行ってあげようか?」
「蒲公英は……休みだ……」
「ふむ、成程。いつもお弁当を持ってきてくれる蒲公英がお休みだからお弁当がなくて、購買部へ向かっている途中で力尽きたと」
「ちげぇよ、購買まで行ったけど金がなくて買えなかったんだよ……」
「なんだ、そうだったのか。それならボクに声をかければ良かったのに」
「んなカッコ悪ィこと出来っかよ……」
「遠慮しなくてもいいのに。親戚じゃないか。どうしても気になるならお代はノエルさんから頂くから安心して食べるといいよ。南原」
執事の名を呼ぶと、どこからともなく現れたボクの執事、南原が焼きそばパンを持ってきてくれた。彼女は代々橘に仕えてくれている一族で、とても優秀だ。きっと龍一郎の姿を見つけた瞬間にこうなることを見越して、すぐ買いに行ってくれたんだね。