ポプリ
「そうか。……これで、鴉丸と佐伯の因果も終わりだな」

「えっ?」

 飛燕の言う意味が分からず雪菜は首を傾げる。そんな彼女に、飛燕は赤い目をやった。

「てめぇにも迷惑をかけたな、ウチのドラ息子がよぉ」

「え……いえ、随分と昔の話ですから」

「そうかい。ま、若気の至りってヤツで、許してやってくれ。孔雀のことも、俺のことも」

「はい……?」

 更に首を傾げる雪菜。

 飛燕は薄い青の髪と瞳の雪菜に、かつての恋人(勘違い)の面影を見て目を細めた。

 亜鳥が生まれたときに、もしかしてと思ったのだ。

 呪いの効力が切れた。つまり、かけた者が消えたのではないかと。……まあ、小雪には呪いをかけたつもりはないだろうが。ただ、心の奥底から震え上がるような恐怖を与えただけで。

「孫に娘が生まれた」

「えっ……鷹雅くんにですか? わあ、おめでとうございます!」

「近いうち、ここに通うことになるだろう。『ようちえん』にいる嫁共々、面倒みてやってくれや」

「はい、喜んで!」

 笑顔で頷く雪菜に飛燕も薄く笑みを浮かべ、ばさりと黒い翼を広げて満月に向かって飛んでいった。











 このとききっと、雪菜は妊娠中(冬樹を)。




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