ポプリ
「さっき、花龍ちゃんとシオンくんがアイツに追いかけられてるって聞いて、急いで来たの!」

「ヘンタイと戦うのは怖いけど、大事な花龍ちゃんを助けるためだからがんばったの!」

「みんなで戦えば怖くないもの!」

「ヘンタイなんか怖くない!」

「ヘンタイなんか怖くないっ!!」

 ヘンタイ大合唱に、刹那の胸に突き刺さる矢が止まらない。

「……琥珀おねーさまを、いじめてるの?」

 花龍は哀しげな顔で刹那を振り返る。

「ち、違う、決してそのようなことはしていない!」

 ヘンタイ大合唱よりも、無垢な瞳に哀しげに見つめられる方が痛い刹那、傷ついた胸を押さえ、答えるが。

「だまれヘンタイ!」

「うそつきヘンタイ!」

 女子児童たちの容赦ない言葉の暴力が刹那を襲う。

「……でも、お兄ちゃんは凄い剣士みたいだよ。今だって顔の怖い人たち、傷つけないで追い払ったし……女の子が嫌がるようなこと、するかなぁ」

 唯一の男子児童、シオンは刹那の肩を持とうとするものの。

「シオンくんは甘い!」

「おごる者こそ、自分の力を悪い方に使うものよ!」

「琥珀おねーさまかわいそう!」

「きっと私たちも狙ってるんだわ! 見て、あの怖い目!」

「きゃああああー、ヘンタイの上にロリコン!」

「シオンくんも追いかけられてたのよ、ショタコンかもしれないわ!」

「みんな、早く逃げようっ!」

「そうしましょう!」

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