ポプリ
 琥珀おねーさまが変態風紀委員に手篭めにされた。その上変態趣味を植えつけられた。そんな噂が初等部にも流れてきた。尤も、下学年である花龍たちにその意味は半分も理解出来ていないけれど。

 おいおいと嘆くクラスメイトたちを眺め、花龍はこてんと首を傾げた。

 今日チラリと見た琥珀おねーさまは、とても幸せそうな顔をしていた。

 あんな風に笑えるのなら、ヘンタイは悪いものではないのかもしれない。だって今日のおねーさまは、いつもよりずっと綺麗だった。


「ヘンタイは琥珀おねーさまに、裸Yシャツとかいう格好をさせているらしいの」

「それってどんなの?」

「裸にYシャツを着るんじゃない?」

「それってヘンタイなの?」

「そうみたい……」


 クラスメイトがそんな会話をしている。

 裸にYシャツはヘンタイなのか。でも刹那おにーさまは喜んでいるそうだ(誤解)。琥珀おねーさまも進んでやってあげているそうだ(誤解…?)。

「……真似したら琥珀おねーさまみたいになれるかな」

 花龍はそんなことを呟いて、帰路についた。




 その日の夜。

 任務で疲れ、ちょっと眠そうにしながら歯磨きをしていた霸龍闘の元に、花龍がとてとてとやってきた。

「父上~」

「んー?」

 霸龍闘は振り返り、首を傾げる。

「父上ー、これどう? 似合うー?」

 えへへ、と笑いながらちょっぴり首を傾げる娘に、霸龍闘も更に首を傾げた。娘はダボダボの白いYシャツを着ていたのだ。

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