ポプリ
「──シルヴィ」

「なんにゃ~?」

 サンドイッチを頬張りながら振り向くシルヴィに、クードは訊ねる。

「この星の、何が一番好きだ」

「ん~?」

 シルヴィはサンドイッチをごくんと飲み込んだ。

「色だ」

「……色」

「んだ。この星の色は、父ちゃんの目の色と同じなんだよ」

 深い、深い、底知れぬ慈愛を秘めた青の色。

 永久(とこしえ)の闇の中にあっても、輝き続ける力強い瞳。

 それを思い出したクードの口元に、微かに笑みが広がった。

「そうか」



(お前が見る夢は、ここにあるのか)

 ミルトゥワは人と魔族との間に講和条約が結ばれ、一見平和である。

 けれどもあらゆる場所で火種が燻っている。クードやシルヴィたちラルク隊員は、際限なく現れる火種を消し続けなければならない。

 それでも、赤髪の勇者は諦めていない。

 彼が理想とした世界の縮図が、ここにあるから。










 クードはシルヴィの保護者。

 



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