ポプリ
まだまだ賑やかな宴が続く天神学園のクリスマステロ。飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎは、参加者の体力が続く限り続けられる。
その催し物のプログラム確認を行っていたノエルは、トントン、と肩を叩かれて振り返った。妹のセレナであった。
「どうしたの?」
「兄さん」
セレナは少し苦笑気味に、ノエルの持っている書類を奪い取った。
「日付が変わりました。後の仕事は私が引き受けますから……兄さんはパーティを楽しんできてください」
そう言って微笑む妹に、ああ、とノエルは笑った。
「いいんだよ、仕事なんだから」
「でも、今日は……」
「いいんだよ」
ノエルはセレナから書類を奪い返し、にこりと微笑んだ。そうして会場で楽しそうにはしゃぐ参加者たちを眺める。
「みんなが楽しんでいる姿が、僕にとって一番のプレゼントだからね」
「兄さん……」
それは兄らしい答えで、セレナはますます彼を誇りに思ったのだが、でも、今日は。
「兄さん、それなら龍乃さんや武くんたちに話して、みんなでお祝いしてもらえばっ……」
「こら、セレナ」
ぽんぽん、と妹の頭を優しく叩いて、ノエルは微笑む。
「今日は『クリスマステロ』。僕のことは内緒。いいね?」
少し屈んで視線を合わせた兄の目は、優しいけれども頑固な目で。それを良く知っている妹は、唇を尖らせながらも頷くしかなかった。
「……はい」
「うん」
もう一度ポンポンとセレナの頭を叩いて、ノエルは人々の集まる方へと歩き出す。その背中に向かって、セレナが叫ぶ。
「帰ったら母さんと一緒においしいケーキ焼きます。楽しみにしていてくださいねっ!」
その声に、ノエルは肩越しに振り返り、優しく微笑んだ。
◇
クリスマスはノエルの誕生日でした。
その催し物のプログラム確認を行っていたノエルは、トントン、と肩を叩かれて振り返った。妹のセレナであった。
「どうしたの?」
「兄さん」
セレナは少し苦笑気味に、ノエルの持っている書類を奪い取った。
「日付が変わりました。後の仕事は私が引き受けますから……兄さんはパーティを楽しんできてください」
そう言って微笑む妹に、ああ、とノエルは笑った。
「いいんだよ、仕事なんだから」
「でも、今日は……」
「いいんだよ」
ノエルはセレナから書類を奪い返し、にこりと微笑んだ。そうして会場で楽しそうにはしゃぐ参加者たちを眺める。
「みんなが楽しんでいる姿が、僕にとって一番のプレゼントだからね」
「兄さん……」
それは兄らしい答えで、セレナはますます彼を誇りに思ったのだが、でも、今日は。
「兄さん、それなら龍乃さんや武くんたちに話して、みんなでお祝いしてもらえばっ……」
「こら、セレナ」
ぽんぽん、と妹の頭を優しく叩いて、ノエルは微笑む。
「今日は『クリスマステロ』。僕のことは内緒。いいね?」
少し屈んで視線を合わせた兄の目は、優しいけれども頑固な目で。それを良く知っている妹は、唇を尖らせながらも頷くしかなかった。
「……はい」
「うん」
もう一度ポンポンとセレナの頭を叩いて、ノエルは人々の集まる方へと歩き出す。その背中に向かって、セレナが叫ぶ。
「帰ったら母さんと一緒においしいケーキ焼きます。楽しみにしていてくださいねっ!」
その声に、ノエルは肩越しに振り返り、優しく微笑んだ。
◇
クリスマスはノエルの誕生日でした。