ポプリ
「亜鳥~」

「うわああああっ!」

 沈思していた亜鳥は、母の遊里に声をかけられて大声を上げた。

「ちょ、何よ、いきなり声をかけないで母さん、ビックリするじゃない!」

「えービックリさせちゃった? ごめんごめん。それより何考えてたの、凄い乙女な顔してたよ~?」

「べ、別に何も!」

「怪しいなーそれこの間のクリスマステロで配られてた花音ちゃんのキーホルダーでしょ? カップル限定だったんだよねもちろん母さんも父さんと一緒に行ってゲットしてきたよ。それを持ってるってことは亜鳥も彼氏と行ったんでしょそうでしょ「ち、ちが「でも亜鳥が男の子と歩いてるの見かけなかったんだよねぇ。スペシャルバカの娘ちゃんとイチャイチャしてたのだけは見たけど「べ、別にイチャイチャなんか「てことは亜鳥は女の子が好きなんだ「ちがうっ!「じゃあ男の子だよね亜鳥にそんな乙女顔させる罪な男の子はどこの誰なの母さんに教えてよおおお」

 亜鳥に子どものように抱きついて早口でそう言う母に、亜鳥は顔を赤くする。

「べ、別に……ちょ、ちょっと、嫁になれとか言われただけだけど……」

「嘘、もうプロポーズされたのっ?」

 遊里の声に、掃除をしていた河童たちが顔を上げる。

「えっお嬢、ぷろぽーずされたんですか!」

「さすがお嬢!」

「どこのどいつですか、ちゃんと兄貴には報告なさいましたか!」

「婚儀はいつのご予定で!」

 河童たちが大騒ぎするものだから、他の部屋の掃除をしていた鷹雅や他の家族たちもわらわらと集まってくる。

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