ポプリ
「はあ? 亜鳥、何寝惚けたこと言ってやがる。お前はまだ17の子どもだぞ? 結婚なんて早ぇに決まってんだろ」

「この間まで赤ん坊だったお前が……確かに結婚にゃまだ早ぇな」

「まあ、儂が生きているうちにひ孫の晴れ姿を拝みたいものだがの」

 と鷹雅、孔雀、飛燕の男性陣。

「でも今から相手を決めておくには構わないだろ。亜鳥ちゃんが見初めた男だ、鴉丸に相応しい相当な手練なんだろ?」

「尚且つ、亜鳥ちゃんを幸せにしてくれる殿方であることを期待しますけれど」

「超イケメンに決まってるよ、ねっ亜鳥!」

 と燕女、雲雀、遊里の女性陣。

 それに河童たちの視線も集まり、亜鳥は衆目に晒されて逃げ場がなくなる。

「……ま、まあ、後々分かることだから、言うけど。……相手は、臥龍よ」

 五所川原キーホルダーを手の中で弄びながら、亜鳥はぼそりと言い放った。

 鴉丸家の人々プラスαは、揃って目を点にした。

「……は? 亜鳥、誰だって?」

 聞き間違いかと思い、鷹雅が聞き返す。

「だから……昔天神を荒らした、あの臥龍だってば」

 目を見開く鴉丸家の人々プラスα。

 しばしの静寂、のち、嵐。

「ちょ、が、がりゅーって「臥龍だとおおお「臥龍だとおおお「うそ、臥龍ってあの臥龍? スペシャルバカの臥龍?「臥龍ねぇ。すごいものを見初めたね亜鳥ちゃん「あらあらまあま「天神を荒らした龍なんぞ鴉丸が許すとでも「臥龍ってお前、俺より年上だろーが! てか親父より年上の可能性もあんだろーが! 歳の差婚が流行ってるとはいえ年上すぎんだ「お、おおおおお、お嬢、なんて相手を「すげー、臥龍と鴉丸がひとつに? 鴉丸はこれで妖怪の頂点ですよ!「うわすごいねー母さん強い人がお婿に来てくれて安心しちゃったー人間の血が入ったことで鴉丸の力を弱めちゃったんじゃないかって心配してたから」

 最後に遊里が少ししんみりしながらそう言ったので、全員がシンと静まり返った。

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