ポプリ
 遠慮なしに全部引っ張り出し、中をせっせとお掃除。

「よしっ、終わり! 今度はこれを中に入れないと……」

 と、出したものを入れようと荷物を持ち上げたときだった。

 ぱさりと、ベージュの小包封筒が床に落ちた。

「あっ」

 セレナは慌ててそれを拾い上げ、中に入っているものが壊れていないか確認しようと封筒を開けて。

「……え?」

 出てきたものを手に、固まった。

「苺……パンツ?」

 それは紛れもなく、女物の苺柄パンツであった。

 何故兄のクローゼットにこんなものが。

 もしかして自分のものがここに紛れて? ……いやいや、それはない。苺柄は持っていない。

 では母の物が……いやいや、母の物の中にも苺柄は見たことがない。

 では兄が履いて?

 ……いやいや、ありえない。きらめく汗が似合う爽やかスポーツマンの兄のそんな姿、想像もしたくない。では父……いやいや、更にない。ありえない。

 ありえないものを手に、セレナはぐるぐると思考を巡らす。

 どうしてこんなものがここにあるのか、思考がぐるぐる回りすぎて良く分からなくなってきたセレナは、苺パンツを手に階下へと降りていった。

「母さあああん! これを見てください! こんなものが兄さんの部屋から出てきました!」

 キッチン周りの掃除をしていた母ペインに苺パンツを見せ付ける。

「え? セレナのものじゃないんですか?」

 親子らしく、セレナと同じように額に泡をつけて振り返るペイン。

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