雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
入学早々、三年生の間では萌果の事が話題になっていた。あの今宮律樹の妹が入学してきた、と興味津々で顔を見に来る者もいた。
早速萌果にアプローチしてきた男子生徒も、一ヶ月の間にはや三人。一年生二人、二年生一人。サッカー部、野球部、ラグビー部という面々だったがやはり撃沈。
『あなた、どのくらい強いの?』
付き合ってほしいと言う相手に、萌果はこう言い放つ。
『今宮律樹、知ってる?』
『もちろん! エビ高の今宮って言えば……って、まさか』
『そう。私も今宮って言うの』
『あ、あぁ。そうなんだ? 兄妹なんだね?』
『兄と勝負して、勝ったら考えるわ』
『ご、ごめん、俺ちょっと用事が……』
そうした噂は、嫌でも律樹の耳に入ってきていた。その度に冷やかされるのは面倒極まりない。
「おい律、妹ちゃんまた玉砕したんだって? サッカー部の松本って結構女子から人気あるヤツじゃん」
「知らん」
「つれないねぇ」
休み時間、律樹にじゃれつく悠李。そこに乱入して来たのは守口夏成実(もりぐちかなみ)だ。
「えっ、今宮くんの妹、まっつんに告られたの? すげー!」
「まっつん? あぁ、松本ね」
「アタシ、二年の時に告って振られたもん」
「お前もめげないよな、どんだけ振られても」
「へへ、ポジティブなのが取り柄なんで!」
悠李と夏成実が話しているのを、律樹はぼんやりと眺める。夏成実はカナダに留学していた事があり、周りとはちょっと違う雰囲気を持っていた。
早速萌果にアプローチしてきた男子生徒も、一ヶ月の間にはや三人。一年生二人、二年生一人。サッカー部、野球部、ラグビー部という面々だったがやはり撃沈。
『あなた、どのくらい強いの?』
付き合ってほしいと言う相手に、萌果はこう言い放つ。
『今宮律樹、知ってる?』
『もちろん! エビ高の今宮って言えば……って、まさか』
『そう。私も今宮って言うの』
『あ、あぁ。そうなんだ? 兄妹なんだね?』
『兄と勝負して、勝ったら考えるわ』
『ご、ごめん、俺ちょっと用事が……』
そうした噂は、嫌でも律樹の耳に入ってきていた。その度に冷やかされるのは面倒極まりない。
「おい律、妹ちゃんまた玉砕したんだって? サッカー部の松本って結構女子から人気あるヤツじゃん」
「知らん」
「つれないねぇ」
休み時間、律樹にじゃれつく悠李。そこに乱入して来たのは守口夏成実(もりぐちかなみ)だ。
「えっ、今宮くんの妹、まっつんに告られたの? すげー!」
「まっつん? あぁ、松本ね」
「アタシ、二年の時に告って振られたもん」
「お前もめげないよな、どんだけ振られても」
「へへ、ポジティブなのが取り柄なんで!」
悠李と夏成実が話しているのを、律樹はぼんやりと眺める。夏成実はカナダに留学していた事があり、周りとはちょっと違う雰囲気を持っていた。