雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 コンビニに入った那子は、真っ先にスイーツコーナーへと向かう。目指すは瞳子の好きないちごのブラマンジェ。

 運よく棚にひとつあるのを見つけて手を伸ばすと、偶然にも同時に伸ばされたもうひとつの手があった。

 ひとつしかないブラマンジェに手が二つ……一瞬、時が止まったかの様だった。


「い、今宮!?」


「桜川……」


「何で今宮がここにいるの?」


「『何で』って……俺の家、朝日ヶ丘だし」


「そう……なんだ。アタシは南町」


「南町にもコンビニあるだろ」


「あるけど、ここのコンビニのがスイーツの種類多いから」


「あ、それ言えてる」


 律樹は抑揚のない口調で同意しながら、ブラマンジェの隣にあったレアチーズケーキを手にした。
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