雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「えっ? いちごのブラマンジェ、アタシが買っていいの?」


「わざわざ朝日ヶ丘まで遠征して来たって聞いたら、譲らないわけいかねーだろ」


 言いながら、さっさとレジの方に向かう律樹。

 何だか悪い気がしながらも、いちごのブラマンジェを手に、那子もレジに向かった。

 ――あっ、まだ朝のお礼言ってなかった!!

 思った時は既に、律樹はコンビニを出て行くところで……。

 そんな時に限って、那子の前に並んでいた人は、カゴに山ほど買い物をして、レジに手間取っている。

 ――また言いそびれちゃった……。

 那子が小さな溜め息を吐いてコンビニを出ると、帰ったとばかり思っていた律樹が、何故かそこにいた。
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