雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「今宮くんもイケメンだよね! アタシと、どう?」


「は?」


「付き合っちゃおっか?」


「無理」


「んもー、冷たいっ」


 呆れてそっぽを向いた律樹の横で、今度は悠李に矛先が向く。


「江坂くんはどう? 確か、今彼女いないよね?」


「あーごめん。俺、大人の女が好み」


「何よ、どいつもこいつも!」


 プリプリして教室を出て行った夏成実を見送ると、悠李は律樹の肩を叩いた。


「なぁ、律。なんとかした方がいいんじゃね?」


「何を?」


「妹ちゃんだよ。萌果ちゃん」


「萌果が何?」


 悠李は色白の細く長い指で、律樹の鼻先にツンと触れた。


「ブ・ラ・コ・ン」


「ブラコン?」


「あぁ。あれは相当だぞ」


「んな事言ったって……」


「お兄ちゃんが何とかしなきゃどうすんの? ありゃいつまでたっても彼氏出来ないよ」


 律樹は頬杖をついて窓の外に目をやった。分かっている。年頃の妹、しかも普通より可愛い妹に、いつまでも彼氏が出来ないのは気にはなっているのだ。
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