雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「部活は見に来る、ファミレスにもついて来る、妹だけじゃなく律だって彼女出来ないじゃん」


「俺は別に……」


「空手が恋人とか言っちゃう?」


「言わねーって」


「高三にもなって、彼女の一人もいなくてどうするよ? なんなら誰か紹介しようか?」


「そういうのは……」


「じゃ、どういうのならいいわけ?」


「別に今すぐ、彼女が欲しいとかないし」


「あのさ、健康な十代の男が彼女欲しくないとかおかしいよ? もしやあれか? 二次元か、二・五次元か?」


「悠李、俺は……」


「あ、ライン来た。また後で」


 席を立った悠李に、律樹は深い溜め息をついた。彼女が欲しくない訳ではない。だが、飢えている訳でもない。今はそういう気分じゃない、というのが正直な気持ちで。
 
 萌果にもいつか彼氏が出来るだろう。その時にはちゃんと紹介してくれるだろうか。そんな事を思いながら、律樹は窓から見える白い雲の流れを追った。
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