雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
ゴールデンウィーク前の金曜日、一年一組の教室はざわめいていた。五月中旬に、初めてのイベント、歩行遠足があるのだ。
「静かにして下さーい! 班と班長が決まったら、前に書きに来て下さい!」
クラス委員の男子が教卓の前で声を張り上げ、同じく女子が黒板にチョークを走らせる。三十名のこのクラスで、五班から六班を作れと言う。しかも男女混合。
「ぜーったい! 伊万里と一緒じゃなきゃ嫌っ」
萌果はそう言って伊万里の腕に絡み付いた。みんな自分の席を離れて、誰と一緒になるだのと騒いでいる。そこかしこでグループが作られていたが、二人には誰も声をかけてこなかった。
「班とか関係なくない? うちら二人で行動しようよ」
「さすがにそれは無理じゃ……」
伊万里は苦笑いした後、背後の気配に気付き素早く振り返った。
「俺たちと一緒の班にならねぇ?」
軽めな笑顔で声をかけてきたのは、伊万里が苦手なタイプのアイドル顔、高井田功(たかいだこう)。その隣にいるのは正反対な無愛想男子、八尾匡(やおたすく)だ。
「はぁ? なんで」
伊万里をかばうように萌果が前に出る。功は笑顔を崩さずに、萌果へと一歩近付いた。
「静かにして下さーい! 班と班長が決まったら、前に書きに来て下さい!」
クラス委員の男子が教卓の前で声を張り上げ、同じく女子が黒板にチョークを走らせる。三十名のこのクラスで、五班から六班を作れと言う。しかも男女混合。
「ぜーったい! 伊万里と一緒じゃなきゃ嫌っ」
萌果はそう言って伊万里の腕に絡み付いた。みんな自分の席を離れて、誰と一緒になるだのと騒いでいる。そこかしこでグループが作られていたが、二人には誰も声をかけてこなかった。
「班とか関係なくない? うちら二人で行動しようよ」
「さすがにそれは無理じゃ……」
伊万里は苦笑いした後、背後の気配に気付き素早く振り返った。
「俺たちと一緒の班にならねぇ?」
軽めな笑顔で声をかけてきたのは、伊万里が苦手なタイプのアイドル顔、高井田功(たかいだこう)。その隣にいるのは正反対な無愛想男子、八尾匡(やおたすく)だ。
「はぁ? なんで」
伊万里をかばうように萌果が前に出る。功は笑顔を崩さずに、萌果へと一歩近付いた。