雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
靴を履き替えた穂香は、生徒玄関を出たところで愕然とした。
「嘘でしょー!」
誰に言うわけでもない大きな独り言が、思わず口を衝いて出る。急に降り出した雨が、パシャパシャと音を立てながら屋根やアスファルトを叩いていた。
「どーしよー」
恨めしく空を見上げながら、穂香は考える。折り畳みの傘を常備している千咲希の部活が終わるのを待つか……濡れて帰るか……。そんな穂香の横で広げられた傘の音に視線を移すと、そこに帆鷹がいた。
「あれ? 今日は九条、新太と一緒じゃないんだ?」
「俺これからバイトだから」
「バイト? 九条のバイト先ってどこ?」
「駅前にあるファミレス」
「マジ!? そこまででいいから、入れてって」
「……いいけど」
「ホント!? 今日傘持って来なかったから、どうしようかと思ってたんだよね。ラッキー」
穂香はいつものテンション全開で、帆鷹の傘に入れてもらうと並んで歩き出した。
「嘘でしょー!」
誰に言うわけでもない大きな独り言が、思わず口を衝いて出る。急に降り出した雨が、パシャパシャと音を立てながら屋根やアスファルトを叩いていた。
「どーしよー」
恨めしく空を見上げながら、穂香は考える。折り畳みの傘を常備している千咲希の部活が終わるのを待つか……濡れて帰るか……。そんな穂香の横で広げられた傘の音に視線を移すと、そこに帆鷹がいた。
「あれ? 今日は九条、新太と一緒じゃないんだ?」
「俺これからバイトだから」
「バイト? 九条のバイト先ってどこ?」
「駅前にあるファミレス」
「マジ!? そこまででいいから、入れてって」
「……いいけど」
「ホント!? 今日傘持って来なかったから、どうしようかと思ってたんだよね。ラッキー」
穂香はいつものテンション全開で、帆鷹の傘に入れてもらうと並んで歩き出した。