雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 翌日の昼休み。二年三組の教室は相も変わらず騒がしい。そんな中、穂香と千咲希も、いつもの様に向かい合ってお弁当を広げた。

 お弁当を食べながら、落ち着きなく辺りを気にする穂香に気付いた千咲希が訊く。


「穂香、どうかした?」


「えっ?」


「さっきからっていうか、朝から何となく落ち着きないから」


「何にもないよ? うん。ホントに何にも」


 焦った様に取り繕う、嘘が下手な穂香に、千咲希は小さく吹き出して笑った。


「千咲希、何笑ってんの?」


「だって穂香、わかりやすいんだもん。何かあったってバレバレ」


「もう……千咲希には敵わないなぁ」


 穂香はすんなり観念して、口を尖らす。


「それで? 何があったの?」


 訊いた千咲希に、穂香はコホンと咳ばらいをひとつして言った。
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