雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「期末が終われば、夏休みだよね! 楽しみー、宿題さえなかったら、超楽しみ」


「切り替え、早いね」


 萌果のクルクル変わる話題に、伊万里は呆れながらも笑って言う。夏休みは、伊万里も楽しみにしている事があった。Fateのライブに遠征するつもりで、お小遣いをコツコツ貯めているからだ。

 そして、ふと思い浮かぶのは五月のライブで出会ったエビ高男子の事。コンタクトを落としたと思い、一人で探していた自分を助けてくれた人に、同じエビ高なら会えるのではないかと、密かに期待していた。

 ちゃんとお礼を言いたいという気持ちと、周りにはいない貴重なFateファン同志、話をしたいという気持ちもあって。でも、他人とろくに話せない自分が、面と向かってちゃんと話が出来るのかとも思う。
< 182 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop