雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「えっ? 功の知り合い!?」


「もしかして彼女とかぁ!?」


 グループの女子二人がそれぞれに言い、男子二人はニタつきながら、功の肘を両サイドから小突く。功はイエスともノーとも答えず、慌てた様に言った。


「わりぃ。ちょっと先行ってて」


 功は言うが早いか、校門の前に立っていた女子生徒へと走り出す。


「花梨、お前、こんなとこで何してんだよ!?」


 如何にも「迷惑」と言わんばかりの口調で、功は花梨の腕を掴むと、校門から少し離れた所に連れて行った。足を止めて振り返りながら、功がその手を離す。


「ごめん……。迷惑だったよね?」


 申し訳なさそうに、俯きがちに花梨が言った。


「別に、迷惑とかそんなんじゃねーけど。いきなり来られると焦るっつか……」


 功は照れ隠しに、自分の髪をクシャクシャとしながら答える。そんな功の言動に、花梨は顔を上げると、遠慮がちな安堵の笑みを浮かべた。
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