雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
花梨こと塚口花梨(つかぐちかりん)は、西華高校(せいかこうこう)に通う一年生で、功とは中三の時から付き合っている。早い話が、功の彼女だ。見た目も性格的にも大人しめ。そんな花梨がいきなり他校の校門前にやって来るなんて……と、功は想定外の出来事に、ちょっぴりパニクっていた。
「何かあった?」
功の問い掛けに、花梨は首を横に振る。
「ずっと会えてなかったから……会いたくなって……」
「来るなら来るで、連絡くらいしろっつの」
花梨から会いに来てくれた事が内心では嬉しいくせに、功の口からこぼれたのは、裏腹もいいところの素っ気ない言葉だった。それは何も、今に始まった事じゃない。好きな女の子に素直な態度が取れない功は、付き合い始める前から、ずっとこんな調子だ。
「そうだよね。ごめん」
そこに功のスマホが、LINEの着信を告げる。功はポケットの中からスマホを取り出して確認すると、『早く来いよ』のメッセージが、グループの男子から届いていた。
「何かあった?」
功の問い掛けに、花梨は首を横に振る。
「ずっと会えてなかったから……会いたくなって……」
「来るなら来るで、連絡くらいしろっつの」
花梨から会いに来てくれた事が内心では嬉しいくせに、功の口からこぼれたのは、裏腹もいいところの素っ気ない言葉だった。それは何も、今に始まった事じゃない。好きな女の子に素直な態度が取れない功は、付き合い始める前から、ずっとこんな調子だ。
「そうだよね。ごめん」
そこに功のスマホが、LINEの着信を告げる。功はポケットの中からスマホを取り出して確認すると、『早く来いよ』のメッセージが、グループの男子から届いていた。