雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「私、帰るね」


「えっ?」


「功の顔見れたし、功もさっきの友達と約束してるんでしょ?」


 花梨に訊かれ、功は「あぁ」と小さく頷く。


「急に来たりして、ホントにごめん。じゃあね」


 花梨は小さく笑みながら、手をバイバイと振り、ひとり歩き出した。華奢な後ろ姿が、やけに寂しそうで、功は急いでLINEに『ごめん。急用が出来た』と返信する。


「花梨」


 功に呼び止められた花梨は、足を止めて振り返った。花梨へと駆け寄る功の姿を見て、不思議そうに首を傾げる。


「一緒に帰るぞ」


「え? でも約束あったんじゃ……」


「ノープログラム」


「それを言うなら『ノープロブレム』ね?」


「るせー。意味が通じてんなら、別にいいだろっ」


 ひとり足早に歩き出した功の背中を、花梨は笑顔で追いかけた。
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