雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「江坂くんがイケメンなのは知ってたけど、九条くんもイケメンだよねー」


「そお?」


 那子の素っ気ない返事に、夏成実がひとり興奮気味に言う。


「あの二人がイケメンに見えないなんて、那子の感覚、麻痺しすぎ」


「麻痺?」


「一緒にバイトしてるから、見慣れすぎちゃって麻痺してるって事! いいなぁ那子は。あんなイケメン達と学校外でも一緒で」


「一緒って言ったって、バイトしてるだけだよ?」


「それでも話くらいするでしょ?」


「ほとんどが業務連絡だけどね」


「何それ。もったいな! ね、ね、今度さ、九条くんに彼女がいるか訊いてみてよ」


「絶対やだ」


「いいじゃーん。ケチー」


「そういう話なら、アタシより江坂にした方がいいんじゃない?」


「あっ、そっか」


 夏成実はあっさり納得すると、早速テーブルの呼び鈴を押した。


「えっ!? 今!?」


 あたふたと突っ込んだ那子に、夏成実がニンマリ笑う。

 テーブルにやって来た悠李に、夏成実が悪びれもなく訊いた。
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