雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「九条くんて、彼女いるの?」
「は? 注文かと思ったら、そんな事かよ」
「『そんな事』じゃないよー。大事な事じゃん」
「本人に訊いた方が早いんじゃね? 呼んできてやろうか?」
「話した事もないのに、いきなり『彼女いるんですか?』なんて訊けるわけないじゃん」
「守口なら訊けるだろ? なぁ」
悠李が那子に同意を求めると、那子もそれに頷く。
「ちょっと! 二人して人を変人扱いしないでよー」
夏成実がふくれっ面で抗議したのと同時に、来店の客を知らせるベルが鳴り響き、悠李は出入り口の方へ小走りで駆けて行った。
悠李の背中を恨めし気に見つめる瞳の中、見知った姿を見つけて、夏成実はハッとする。慌ててメニューに手を伸ばし顔を隠した。
「いきなりどうしたの?」
不思議そうな那子に、夏成実は「シッ」と唇に人差し指を立てる。訳が分からないという那子はそのままに、夏成実は対角線上のテーブルをメニューに隠れながらそっと覗いた。
「は? 注文かと思ったら、そんな事かよ」
「『そんな事』じゃないよー。大事な事じゃん」
「本人に訊いた方が早いんじゃね? 呼んできてやろうか?」
「話した事もないのに、いきなり『彼女いるんですか?』なんて訊けるわけないじゃん」
「守口なら訊けるだろ? なぁ」
悠李が那子に同意を求めると、那子もそれに頷く。
「ちょっと! 二人して人を変人扱いしないでよー」
夏成実がふくれっ面で抗議したのと同時に、来店の客を知らせるベルが鳴り響き、悠李は出入り口の方へ小走りで駆けて行った。
悠李の背中を恨めし気に見つめる瞳の中、見知った姿を見つけて、夏成実はハッとする。慌ててメニューに手を伸ばし顔を隠した。
「いきなりどうしたの?」
不思議そうな那子に、夏成実は「シッ」と唇に人差し指を立てる。訳が分からないという那子はそのままに、夏成実は対角線上のテーブルをメニューに隠れながらそっと覗いた。